直腸がん、結腸がん の治療に新薬が承認

結腸直腸治療の抗がん剤新薬「スティバルガ」(一般名:レゴラフェニブ、製造:バイエルの)が米食品医薬品局(FDA)に承認された。治療対象は、既存の治療薬に不応性の患者向けとされている。

スティバルガは、がん細胞の成長を促す複数の酵素を阻止するマルチキナーゼ阻害剤に分類される抗がん剤。 FDAに承認された適応症は、他の治療薬による治療後に別の部位へ転移してしまった結腸直腸がん。治療サイクルは28日間で、うち21日間に錠剤として服用する。

承認の基となった治験結果は、患者760人を対象とした臨床試験での効果だ。

患者760人全員が結腸がんで標準とされる既存抗がん剤「アバスチン」「アービタックス」「ベクティビックス」による治療を受けた経緯があった。

そして新薬レゴラフェニブを投与した500人の患者群の平均生存期間は6.4カ月となった一方で、プラセボ(偽薬)を投与した250人の患者群は5カ月だったため、新薬によって生存期間が延長されたとされた。

スティバルガの月額費用は9350ドル (80円/USD = 約75万円)。バイエルは患者が治療費を払えるよう、金銭的支援を提供するプログラムを設立している。

新薬スティバルガはFDAの「優先審査指定」により承認された。 FDAの優先審査とは「既存の治療薬と比較して、治療上の進歩の可能性がある医薬品を優先的に審査するシステム」で、スティバルガの承認は結腸がん治療薬としてはこの数カ月で2番目。

FDAは8月にもサノフィが開発した転移性結腸直腸がん治療薬「ザルトラップ」を化学療法「フォルフィリ」との併用投与で承認している。

米国の疾病対策センター(CDC)によると、結腸直腸がんは米国人のがんによる死因では1位で、毎年5万人の米国人がこのがんで死亡する。日本、アジアでも食生活の西欧化で患者が増えているがんゆえに、新薬の日本承認も期待される。

がん治療で子宮摘出、その後に子宮移植

子宮移植手術が世界で初めて実施された。子宮移植手術を実施したのは、スウェーデンのイエーテボリ大で、 16日までに2件の子宮移植に成功した。

移植を受けた2人の女性はいずれも30代。うち1人はがん手術で子宮を摘出した女性で、残る1人は先天的に子宮が無い患者だった。 子宮の提供者はいずれも患者の母だった。

手術は問題無く終了し、術後の患者の容態も良好、子宮を提供したそれぞれの母も体調良く、数日以内に退院の予定。

がん治療のために、子宮摘出や放射線治療が不可避の場合には精神的にもがん患者が苦しめられる。

既存の最先端の取組みとしては、卵子の冷凍保存で望みを繋げた。がん治療前に卵子を取り出して、極低温で冷凍保存しておき、希望する時期に体外受精を試みる取組みは多くの臨床例が報告され始めている。

今回の子宮の移植は全く新しい取組みで、今後の患者の経過が注目される。