高い効果と少ない副作用の肺がん新薬へ

高い治療効果でも副作用が少ない がん治療新薬「核酸医薬品」の新しい製造法が開発された。「RNA干渉」と呼ぶ仕組みで病気の遺伝子を機能しないようにする がん新薬が期待される。

核酸医薬品は病気に関連する遺伝子やたんぱく質の構造に合わせて設計し、化学合成される。従来の製造法では鎖状の分子を多数作り、その中から使えるものを2本選んで絡める工程が必要だった。開発されたのは新合成法では、 合成したRNAはヘアピンのような構造で、1本の鎖状分子を折り畳んだ新技術は従来法の5倍以上の効率化が達成された。

また従来のRNAの問題点だった点も改良された。効果発揮前に体内の消化酵素にRNAが壊される問題を酵素が働かないようにRNAを補強されたのだ。これでRNA構造が免疫機構から見つけにくくなり、免疫反応による副作用が低減された。

新RNA製造法では、コストが大幅に低減され従来の数十分の1になった。

RNAの治療効果は、動物実験で加齢黄斑変性という目の病気にて確認されている。2~3年内には、肺がん,糖尿病性網膜症の新RNA治療薬の治験が開始される。

天然生薬に発がん性物質

生薬に 高いがん発症率

世界中で人気の生薬・植物薬「ウマノスズクサ」に発がん物質が含まれていることが、証明された。問題の植物は「ウマノスズクサ」は、果実は馬兜鈴と呼ばれ、咳止め、気管支拡張、去痰に効能、根は「青木香」、「土木香」などと呼ばれ、解毒剤、打ち身、炎症止め、禿の防止、腹痛止めに効果的とされていた。さらには、天然由来の自然ダイエット食品としての利用も近年は増加していた。しかし、今回の研究で、台湾の尿管がん、腎臓がんの半数以上に関連していると結論されたのだ。

台湾での研究対象は、尿管がん患者151人。がん患者の60%にウマノスズクサ生薬に関連する特有の変異が確認され、特にアリストロキア酸の摂取後に腎皮質には特有の病変が発生し、がん抑制遺伝子TP53には特有の変異の兆候が生じたとされる。

台湾では全人口の約3分の1がアリストロキア酸を摂取しており、台湾の尿管がんや腎臓がんの発症率は、アリストロキア酸の摂取が台湾ほど一般的ではない欧米諸国の約4倍だった。

ウマノスズクサ原料の生薬に関して、バルカン半島諸国では1956年にウマノスズクサ属の種子をパンに混ぜ込む習慣が原因でアリストロキア酸による腎障害の発生が指摘されてた。また、ベルギーでは1990年代にアリストロキア酸を含むダイエット減量薬を使用した女性達が、突然に末期状態の腎不全になったと報告された例がある。米国では2001年にアリストロキア酸を含む植物性製品を使用した2人が深刻な腎障害を発症した。米食品医薬品局(Food and Drug Administration, FDA)では既に警告を発している。

ウマノスズクサ生薬が、腎臓がん、尿管がんの原因となっていることは、確実だ。「天然成分、自然由来の生薬・サプリメントなら安全」と思い込む患者は少なくないが、天然由来、自然物の方が、危険な物質、成分が多いことを再認識させられる研究報告だった。

研究は米科学アカデミー(Proceedings of the National Academy of Sciences, PNAS)に発表された。