大腸がんを早期発見する新がんマーカーは高精度

大腸がんは男性で3位、女性では1位の死亡原因となっている。 大腸がんの発症例が増えているのに加え、 大腸がんが早期発見の難しいがんだからだ。

健康診断で簡単に受けられる大腸がん検診の腫瘍マーカー検査は、正しく発見できる確率は約3割と非常に低いという問題があった。 CTや内視鏡を使えば正確な診断が可能なのは当然だが、簡単な検査ではなく健康診断で気軽に受けられる検査ではない。

このような大腸がんの早期発見対策として、 新しいバイオマーカーが開発され、検査精度は約8割にまで向上したのだ。

新しいバイオマーカーによる検査は、血液が「数滴」で行える。 がん検査にかかる時間も短く、コストも安い。それでも、大腸がんの有無を8割以上という高い確率で検出することに成功している。さらに従来の腫瘍マーカーでは診断が難しかったステージ0や1の早期の大腸がんでも、高い精度で診断できるという結果は特筆されるべきだろう。

開発した神戸大学では、製薬メーカーと共同で、医療現場で手軽に利用できる大腸がん検査キットも開発中で、近い将来に血液型検査キットのような簡便な器具で、大腸がんが高い精度で診断されるようになるだろう。

がんマーカーが着目した血液中の代謝物を変えることで、 腎臓がん肺がん、など他のがんの検診も簡単で高精度化できる可能性が高まっている。さらに糖尿病などへの適用拡大も期待が大きい。

数滴の血液だけで簡単に精度よくがんが検出できるこの新しい診断方法が普及すれば、早期発見早期治療でより多くの人の命が救われるだろう。

「除鉄」でがん細胞を弱らせる新治療法

がん細胞の性質として、鉄分が減るとがん増殖の速度が抑制されることが解った。 がん細胞にとっては鉄分不足は窮状であり、これを打開するべく血管を新たに引き込もうとする性質があることが解明されたのだ。

このがん細胞の性質を利用、つまりは鉄分をコントロールする=「除鉄」することで、 がん細胞を追い込まれた状態に誘導し、同時に血管新生阻害薬でがん細胞を駆逐治療するのが新治療法の概要だ。

抗がん剤は次々に新薬が開発されるが、がんを根治させる確率は実は極めて低いのが実情。新治療法はがん細胞の防御機構を逆手に利用することで、抗がん剤が効力を発揮できなかった種類の「がん」に対しても高い治療効果が期待できる。具体的には、現行で存在する血管新生阻害作用を有する抗がん剤に除鉄機能を付加することで抗がん効果が高まる可能性がある。

「除鉄」には鉄キレート療法が有効で、1日1回経口で服用するだけの簡便な治療法が承認されている。つまりは、今ある抗がん剤でも十分に応用が可能な新がん治療法の成果に期待が高まっている。

「除鉄」でのがん治療研究は岡山大学が国際バイオ展「BIO tech 2013」へ発表した。