前立腺がん新薬, 甲状腺がん新薬 を保険承認

厚生労働省が がん治療新薬を審議し、下記の抗がん剤を新薬として保険承認を了承した。

前立腺がん新薬: ゴナックス皮下注80mg, 120mg(デガレリクス酢酸塩:アステラス製薬)
「前立腺がん」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。海外55カ国で承認済。
がん細胞の増殖を促す男性ホルモンであるテストステロンの産生を低下させ、腫瘍の増殖を抑える効能。テストステロンの産生に関わるGnRH受容体へのGnRHホルモンの結合を阻害するGnRH受容体拮抗薬である。
4週に1回投与する。

甲状腺がん新薬: タイロゲン筋注用0.9mg(ヒトチロトロピンアルファ遺伝子組換え:佐藤製薬)
「分化型甲状腺がんで甲状腺全摘または準全摘術を施行された遠隔転移を認めない患者における残存甲状腺組織の放射線ヨウ素によるアブレーションの補助」の効能・効果を追加する新効能医薬品。

なお、今回の審議会では、社会問題化しつつあった懸案の「ポリオの不活化ワクチン」も承認を受けた。

がん再発の原因細胞を阻害する新治療法

部分的ではあるが、放射線治療後にがんが再発するメカニズムが解明された。

がん が放射線治療後も死なずに再び増殖してしまうのは、低酸素環境でも生存できる特定の「低酸素がん細胞」が原因であると断定された。

この特殊な がん細胞は、血管の周囲のがん細胞が放射線で死滅すると、遺伝子が活性化することで血管の方向へ移動することで死滅せずに生存する性質がある。実験では、治療前のがんには17%しか存在しなかった「低酸素がん細胞」が、 がんの再発時には60%に増えていた。実験では「低酸素がん細胞」を阻害剤で移動抑止すると がんが再発しないことが確認できた。

がん新治療法として、「低酸素がん細胞」に放射線を集中照射する治療法の研究が進行している。

がん再発メカニズムと「低酸素がん細胞」の関与は、京都大大学院の原田浩講師らの